MaxonのコンプレッサーCP-9とCP9Pro+新旧比較
・共演
RIDEのAndy Bell(アンディ・ベル)先生が90年代の現役バリバリの頃から今まで使い続けているキーペダルとのことで、IbanezのCP9...ではなくマクソンのCP-9(マクソンのみハイフンあり。この違い大事。)を購入。
だってアイバニーズのほうは無駄にプレミアがついてて高いんだもの。80年代初期のオールドだけどマクソンの方は中古で手頃な値段でそこそこ出てます。筐体も中身も同じだし良いでしょっ!ってことで。
CP9と聞くと某海賊漫画の世界政府の諜報機関かなって思いますよね。エニエス・ロビー編はワンピースの中でも特に「立場によって変わる悪と正義」が描かれてて好きですね。ニコ・ロビンが泣くとこね。あ、漫画の名前出しちゃったよ。ていうか関係なっ!
余談はさておき、後発のCP9Pro+の方が見た目は同じでも音は良くて完全上位互換じゃないのと思い、数年前に買って使っていたので、せっかくだから新旧で何がどのくらい違うのか比較してみたいと思います。
・は?
いきなり脱線します。筆者はバカなので中古で機材を買うと興味本位で必ずバラして中身を見るんですが、なんだこれは、たまげたなあ。筐体の中と基板はあなた何があったのという程に汚れてるし、明らかにモディファイしたっぽい痕跡が...
汚れは何かこぼしたか浸かるなどして不幸な目に遭ってしまったっぽい。接点復活剤とか吹きまくったのかなあ。なんか白いけど牛乳だったら嫌だなあ...まあしょうがねえなあということでバラして磨きました。あーあまた半日潰れちまったよ。
バラして清掃の工程は割愛しますが、このマクソン9シリーズ、物理的に全バラはできません。スイッチ上のメーカーとモデル名が書かれたプレートが剥がせないのです...プレートを破壊すれば全バラできますが嫌なのでほどほどに清掃して切り上げました。
どう見てもモディファイっぽいジャンパーと抵抗に関しては純正でこうみたいなので安心しました。古いエフェクターにはたまにあるんだよねこの雑仕様...IbanezのCP9も含めてネットに上がってる他の個体も全部こうなってました。ハラハラさせるなあ。
・やっと本題
・裏面
気を取り直して比較に入っていきましょう。画像はほどほどに清掃した後です。Pro+の方にはマジックテープを貼ってあります。裏面はラベルが違うだけで何も面白くありませんね。筐体は新旧で全くと言って良いほど変わりません。
・中身
中身は完全にジェネレーションギャップですね。清掃の際に絶縁のスポンジを外してしまったので電池スナップにはテープを巻いています。あと配線の取り回しの都合上、この画像では新旧で上下が逆になっています。
アナログ大好きな筆者は古い方が断然好みですね。早速電解コンデンサーを替えたくてウズウズしています。最近のは部品が小さくていじる気が起こりませんもの。まあデジタルのディレイとかと比べたら全然スカスカだけども。
あまり詳しくありませんが、そもそもコンプレッサーとしての仕組みが違いそうですね。左はデカい一点もののICがキモなのはわかるけど、右はトリムもICもたくさんあってわけわからん。ノイズ対策とか色々含まれてるんでしょうね(テキトー)。
・音
肝心な音ですが全然違います。本当は比較動画など上げたいのですがメンドクサイので割愛...見た目は同じだけど丸で別モンですね。こんだけ違うならせめて色だけでも変えて欲しかったです。ボスのディレイとかも同じだけど...あれはなんか雰囲気でわかるじゃん。
・古い方(CP-9)
ONにしただけでアンディの音が出る。Vapour Trailのコードを弾いて勝手に感動しました。まずコンプの性能うんぬんの前に、このペダルはハイが持ち上がるんですよ。ツマミでどうこうできるものではなくて、完全に回路の仕様。
アンディはATTACK TIMEを最大にして使ってるみたい。LEVELとTHRESHOLDは0時~3時で適宜。これだとコンプらしさは薄れるので、クリーンブースター的な使い方なんでしょうね。筆者の手持ちだとEarthquaker DevicesのArrowsに近い感じ。
強制的にハイがきらびやかに鳴るから音が抜けるんですよ。かと言ってギラギラとうるさい感じでもない。これってVOXアンプのあの感じかも。古いエフェクターだけどコンプでこの感覚は斬新ですね。RIDEのアンディパートコピーするなら絶対要ると思う。
ATTACK TIMEを絞れば普通にコンプとして機能します。クリーンブースター的な使い方でもサステインは伸びるから独特。いつまでも弾いていたい気になりますね。古いので現代の基準ではノイズも大きめだし、純粋なコンプとしての性能はPro+に軍配が上がりますが...
・新しい方(CP9Pro+)
本当に優秀なコンプだと思います。昔のと比べると違いがよくわかる。古い方はハイ上がりで味ではあるんですが、一方で現行のは本当に音質が変わらないんですよ。音質はそのままで音の粒は揃えてくれるので耳当たりの良い音になる。水道水のカルキ抜きみたいな感じ。
元ザ・スミスのジョニー・マーはこの使い方ですね。そもそもそれを真似たくて口コミを見てPro+を買ってるので。彼はDIAMOND COMPRESSORだけども。あれ高いんだよ。あとROSSもいいですね。どちらもそのうち自作してみたいと思います。
あ、信号を検知するLEDが付いてるのも良いですね。まあ無くても良いけども。いじれるパラメーターもATTACK TIMEがRATIOに変わってるし、コンプレッサーとしてのコンセプトからして別ですね。見た目は同じなのに。
・総評
結果的には、2つは同じ筐体でもコンプレッサーとして全く違うキャラクターを持っていましたね。変化がわかる系と原音重視系かな。変化がわかると言ってもダイナコンプみたいなパコパコ系ではないけども。
古い方は良くも悪くも音が変わるので、積極的なサウンドメイキングの要素になり得ます。アンディがそうしたように。けど純粋なコンプとして使うなら断然現行をオススメしますね。古いしよほどRIDE好きなオタクしか買う必要はない気がするw
原音重視系でもパコパコ系でもなくてハイ上がりだから、パーカッシブなカッティングとかベースのスラップ向きでもないと思う。本当にRIDE用。コンプというよりクリーンブースターとコンプがセットになりました!と考えた方がいいペダルですね。
筆者は古い方をRIDE用に取っておいて現行は手放そうと思います。と言うのも、原音重視系のコンプは自作しようと思っていたタイミングだったので。Pro+はいつでも買い直せるしね。生まれる時代を間違えたから古い機材は肌に馴染むなあ。
ちなみに良く見るとツマミやプレート、スイッチも形は同じですが微妙にモールドやテカリ具合が違います。古い方がテカテカして高級感がありますね。現行はちょっとチャチい感じ...古い方はバブル期ちょい前の製品ですからね。花の82年組〜